知財高裁(平成27年11月12日)“回転角検出装置事件”は、「本件発明は、『前記複数の磁気検出素子は、並列に180度逆方向で配置され』と規定し、本件明細書において、本件発明の実施例である第1実施例においては、ホールIC31とホールIC32とがそれぞれ幅の狭い面を相隣接させて並べられ、ホールIC31の下面の3つの端子の起点とホールIC32の下面の3つの端子の起点とが横一列に並んでいる配置態様(【図6】)をもって、『並列』と表記している・・・・。これに対して、・・・・請求項1が『複数の磁気検出素子は、並列に180度逆方向で配置され』と記載されているのに対して、『複数の磁気検出素子は、直列に同方向で配置され』と記載されていること以外は、発明特定事項を共通にする請求項2の実施例として記載された第2実施例は、平成18年6月21日付け手続補正書による補正によって請求項2が削除された後も本件明細書にそのまま残されたものであるが、この第2実施例においては、ホールIC31とホールIC32とがそれぞれ幅の広い面を相隣接させて並べられ、ホールIC31の下面の3つの端子の起点とホールIC32の下面の3つの端子の起点とが前後二列に並んでいる配置態様(【図8】)をもって、『直列』と表記している・・・・。そうすると、本件発明の『前記複数の磁気検出素子は、並列に180度逆方向で配置され』とは、2つの磁気検出素子が、180度逆方向で、それぞれ幅の狭い面を相隣接させ、それぞれの3つの端子の起点が横一列になるように並べて配置するものを意味すると解するのが相当である」、「これに対して、引用発明1においては、ホール素子21、22は、ロータ5の回転軸に沿った面に並行で、しかも回転軸を中心に対称な位置に配設されるとされ・・・・、ホール素子21、22が、ロータ5の回転軸を中心として180度逆方向で、それぞれ幅の広い面を相隣接させて並べられ、ホール素子21の下面の4つの端子の起点とホール素子22の下面の4つの端子の起点とが前後二列に並んでいる配置とされている(【図5】、【図6】)。そうすると、引用発明1のホール素子21、22の配置態様は、本件発明における『並列』に該当するものではなく、本件発明の実施例ではない、第2実施例の『直列』に該当するものというべきである」、「原告は、この点について、本件明細書中には、本件発明の構成要件中『並列に180度逆方向』の明確な定義がなく、このような場合には、各語の一般的解釈からその意味を理解すべきであるところ、広辞苑によれば、『並列』は『並びつらなること』と、『逆』は『方向が反対であること』と、それぞれ解説されていることから、本件発明の『磁気検出素子は、並列に180度逆方向で配置され』は、2つの磁気検出素子を、並べて180度逆の向きに配置する構成を意味し、引用発明1のホール素子21、22の配置態様はこれに該当する旨主張する。しかし、本件明細書においては、磁気検出素子の配置態様について、『並列』と『直列』とを、前記・・・・のとおりの各配置態様を意味する語として明らかに使い分けているのであるから、請求項1の『並列に180度逆方向で配置され』との解釈においても、本件明細書のかかる用語例をしんしゃくすべきことは当然である。したがって、原告の上記主張は、採用することができない」と述べている。 |