知財高裁(平成27年11月12日)“生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置事件”は、「不当利得返還請求については、特許法102条3項の『受けるべき金銭の額に相当する額』は、・・・・本来、侵害者がその特許発明の実施に当たり特許権者に対して支払うべきであった実施料相当額であるから、侵害者がこれを支払うことなく特許発明を実施した場合は、その実施により、侵害者は同額の利得を得、特許権者は同額の損失を受けたものと評価することができる。したがって、特許法102条3項の『受けるべき金銭の額に相当する額』が、不当利得(民法703条)における受益者の利得の額に相当し、かつ、権利者の損失の額に相当すると認めるのが相当である」、「一審原告は、平成25年9月11日に、一審被告に対し、被告装置が本件特許権を侵害するとしてその損害賠償を求める旨の催告をし・・・・、その後、当該催告から6か月以内である同年12月11日に本件訴訟を提起した。これに対し、一審被告は、平成26年12月4日の原審弁論準備手続期日において、一審被告の行為に係る本件特許権侵害の損害賠償請求権について、3年の消滅時効を援用する旨の意思表示をした。そうすると、本件特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権は、上記催告から3年を遡る平成22年9月10日までの侵害行為に係る分については、時効により消滅したものと認められる(民法147条1号、153条、724条)」、「平成19年6月8日から平成26年10月28日までの間の実施について受けるべき金銭の額は6372万8115円であるところ、これを期間により按分すると、消滅時効にかかる平成22年9月10日までの額が2811万1180円(6372万8115円÷2700日×1191日。円未満四捨五入)、消滅時効にかからない同月11日以降の額が3561万6935円(6372万8115円÷2700日×1509日。円未満四捨五入)となり、前者の2811万1180円については、不当利得返還請求権として認容すべきこととなる」と述べている。 |