知財高裁(平成7年9日)“オフセット輪転機版胴事件「東日印刷版胴(表面粗さを2.7〜4.μmとした版胴)には、版ずれトラブルの防止という課題や版と版胴のズレが版の裏面と版胴の表面との摩擦係数に影響されるとの知見は存せず、また、乙9文献にも、版ずれを防止するために版胴の表面粗さRを調整するという技術的思想は存しないから、東日印刷版胴に、版ずれトラブル防止のために、乙9文献に記載された発明を組み合わせる動機付けがあるとは認められない。さらに、仮に、当業者において、東日印刷版胴に乙9文献に記載された発明の適用を試みたとしても、・・・・乙9文献に記載された発明は平版印刷版用基材の裏面の表面粗さをμm以上、好ましくは5〜10μmに調整する発明にすぎないから、東日印刷版胴において、その版胴の表面粗さRをより粗に(大きな数値に)調整することにはならない。以上によれば、本件訂正発明2は、東日印刷版胴に乙9文献に記載された発明を組み合わせることによって、容易に発明をすることができたものであるとは認められない」と述べている。

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