知財高裁(平成7年9日)“オフセット輪転機版胴事件控訴人において、輪転機の販売を伴わない版胴取引を行った例があること(取引事例1〜3)に加え、証拠・・・・及び弁論の全趣旨によれば、他社においても、インターネットホームページに、版胴単体の取引の申込みを行っている例があり、また、被控訴人においても、被告輪転機(2(3の増設工事に伴い、輪転機の販売を伴わない版胴取引を行っていることが認められることからすれば、輪転機の販売を伴わない版胴単体での取引がおよそ想定されないものであるとは認められない。しかし、・・・@本件訂正発明2のほかに、版ずれトラブルを解決するのに一定の効果がある手段(版胴表面粗さ.μm≦.μに調整すること)が存したこと、A被控訴人は、被告製品(2(3の加工当時、控訴人に次ぐシェアを有する輪転機メーカーであり、顧客から、技術力や営業力を評価されていたこと、B版胴は、輪転機の印刷部を構成する多数の部品の1つであり、被告輪転機(2(3にあえて控訴人製品を導入することについては時間と費用がかかるところ、被控訴人が被告製品(2について工事の発注を受けたのは平成2年9月頃、被告製品(3についての工事の発注を受けたのは同年0月頃であり、本件特許2の存続期間は平成3年3月6日までであるにもかかわらず、控訴人が、被告輪転機(2(3に導入する控訴人製品を製造、販売しようとすれば、実際に版胴を製造し、これを顧客に引き渡すまでには長期間を要すること、C被控訴人が被告製品(2(3に対してヘアライン加工を施したことによる顧客の負担額は、合計で●●●●円にすぎないのに対し、被告輪転機(2(3に、控訴人製品を導入する場合には、●●円前後の高額の費用を要することが認められる。これらの事実を総合考慮すれば、被告製品(2(3について、その譲渡数量の4分の3に相当する数量については、控訴人が販売することができない事情があるというべきである」と述べている。

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