知財高裁(平成7年6日)“青果物用包装袋事件原告は、本件明細書には、全ての青果物において『L/Tが6以上250以下』という数値範囲が良好な鮮度保持効果をもたらす根拠は示されておらず、当業者において、その効果を予測し得るに足る根拠も示されていないから『切れ込み1個あたりの長さ/フィルムの厚みm)の比(L/T)が6以上250以下』という数値範囲に含まれる発明の全てが、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されているとはいえない旨主張する。しかし、本件明細書の発明の詳細な説明には、本件発明1において、青果物用包装袋を、その特許請求の範囲に記載された所定範囲の長さの切れ込みを同所定範囲の厚さのフィルムに設けることによって、包材のガス透過速度、透過量を調整し、包装内のガス濃度(酸素濃度、二酸化炭素濃度)を、青果物の種類やフィルムの材質に関わらず、青果物の保存に適した雰囲気とすることを可能とし、かつ、フィルムへの加工が容易であり、加工を施してもフィルムの見栄えが悪くなることなく、簡易な仕組みで安価に、しかも小ロットで製造することができることが記載されており、また、包装内のガス濃度(酸素濃度、二酸化炭素濃度)を青果物の保存に適した雰囲気にすることにより、青果物の鮮度保持が可能となることも、当業者であれば理解できる事項であるから、サポート要件を充足するというべきである」、「本件発明1の特許請求の範囲が青果物の種類を限定しないものであるからといって、本件発明1が全ての青果物において良好な鮮度保持効果をもたらすことを実施例をもって示さなければ、サポート要件の充足性が認められないというものではない」と述べている。

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