東京地裁(平成7年20日)“水消去性書画用墨汁組成物事件被告は、@被告製品が被告の意匠権の実施品であること、A被告が従前から被告製品と同一の商品名の墨液を販売してきたこと、B 本件各発明は容易に回避可能であって技術的価値が低いことから、被告の利益のうち0%について特許法102条2項の推定が覆滅されると主張する。そこで判断するに、被告製品は『洗濯で落ちる墨液』という商品名を付し、その広告に洗濯試験の比較写真を掲載し『誤って付いた衣服の汚れが落とせ』ることを第1の特徴として販売されており・・・・、本件各発明と同様の作用効果を奏することが主たる購入動機になっていると認められる一方、被告の意匠権・・・・その他外観上の特徴(上記@。なお、被告製品は横口容器であることも特徴とされているが、そのような形状の容器は他社の墨汁製品でも使用されている。・・・・)又は被告による従前の販売活動(上記A)が被告製品の購入動機の形成に具体的に寄与していたことを認めるに足りる証拠はない。そして、被告製品は本件発明1及び2の構成を備えることにより上記第1の特徴を有する墨液として販売されていたのであるから、侵害後に構成の変更をしたことをもって本件発明1及び2の寄与度が低い(上記B)と解することはできない。したがって、被告の主張は採用できない」と述べている。

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