東京地裁(平成27年2月26日)“ピストンリング事件”は、「本件において原告は被告が本件各発明を実施して利益を得たことについて相当の対価の支払を求めているところ、・・・・原告が実施を主張する平成7年10月31日以降に適用される本件特許規定等は、被告が特許を受ける権利を承継した職務発明を実施したときは発明者に対し実施賞を支払うこと、実施賞の支払は特許の登録後最初に到来する年度末の翌日以降の各年度の実施を対象とすることを定める一方、それより前の実施については実施賞の支払の対象としていないということができる。そして、実施賞は年度ごとの実施(更に平成14年度までは年度を通じての実施)を要件として支払われるものであり、当該年度が終了しなければ相当の対価の額を算定することができず、したがって、その支払を請求することもできないから、実施賞の支払対象となる年度の実施についての相当の対価支払請求権の消滅時効は当該年度が終了するまで進行することはないと解すべきものである。他方、実施賞の支払対象となっていない期間における実施についての相当の対価支払請求権については、・・・・原則どおり、特許を受ける権利の承継の時から消滅時効が進行すると解される」と述べている。 |