知財高裁(平成27年3月5日)“マイクロ波利用のペプチド合成事件”は、「被告は、相違点に係る構成を開示する引用発明は1つの刊行物に記載された発明でなければならないとの見解を前提として、本件審決は、甲9発明及び甲10発明という、複数の先行技術の発明を組み合わせて『甲9+甲10発明』を作出して進歩性の判断に供しているところ、そのような発明は、本件優先日当時において存在しなかったものであるから、特許法29条1項3号所定の発明に該当しないとして、本件審決の判断構造は、同条2項に反するものである旨主張する」、「この点に関し、一般に、ある特許された発明について、公知発明など特許法29条1項各号のいずれかに該当する発明である引用発明との間の相違点につき、それ自体の構成が1つの文献に開示されていない場合であっても、直ちに当該特許発明の容易想到性が否定されて進歩性が肯定されるわけではない。そのような場合は、当該相違点に係る構成を開示する複数の文献等(副引用例)の内容及び関連性を検討した上、引用発明を含めたそれぞれの副引用例の技術分野の関連性、技術課題や作用・機能の共通性、これらの引用発明及び副引用例を組み合わせることについての動機付けの有無などを総合して、容易想到性の存否を決めるべきものである。以上によれば、被告の前記主張は、その前提において誤りがある」と述べている。 |