知財高裁(平成27年4月28日)“蓋体事件”は、「特許法102条2項は、侵害者が『その侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額』をもって特許権者が受けた損害の額と推定する規定であるから、侵害者が侵害製品の製造・販売をするに当たり直接必要となった経費であれば、固定費であるからといって、これを控除しないとするのは相当ではない。そこで、本件においても、被告各製品の製造に供する金型が本件各特許発明を侵害しない他の製品に転用できないものであるならば、その金型の製作費用は、被告各製品の製造・販売のために直接必要となった直接固定費として、これを控除すべきである。しかるに、・・・・被告各製品の形態及び機能並びに弁論の全趣旨によれば、本件各特許発明を侵害する被告蓋体の金型については、これを他の製品に転用することはできないが、これに対して被告容器の金型については、蓋体さえ別の金型で製作すれば、他の製品にも転用できるものであることが推認される。したがって、被告蓋体の金型製作費用については、これを経費として控除し、被告容器の金型製作費用については、これを経費として控除しないのが相当である」と述べている。 |