知財高裁(平成7年48日)“パイプ材把持装置事件特許法旧5条4項(サイト注:現7項)は、同条3項(サイト注:現4項)の相当の対価の額が、その発明により使用者等が受けるべき利益の額・・・・を考慮して定めるというものであるが、この『発明により使用者等が受けるべき利益』は、使用者等が『受けた利益』そのものではなく『受けるべき利益』であるから、使用者等が職務発明についての特許を受ける権利を承継した時に客観的に見込まれる利益をいうものと解されるところ、使用者等は、特許を受ける権利を承継せずに、従業者等が特許を受けた場合であっても、その特許権について特許法5条1項に基づく無償の通常実施権を有することに照らすと『発明により使用者等が受けるべき利益』には、このような法定通常実施権を行使し得ることにより受けられる利益は含まず、使用者等が従業者等から特許を受ける権利を承継し、当該発明の実施を排他的に独占し得る地位を取得することによって受けることが客観的に見込まれる利益、すなわち『独占の利益』をいうものと解される」と述べている。

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