知財高裁(平成7年94日)“検査用プローブの製造方法事件引用例2記載技術は、異種金属板の突き合わせレーザ溶接に関するものであるが、溶接したい金属の融点が異なることを課題として着目した技術内容であって、金属の形状等を問わないものであると解されるから、融点の異なる金属材料を突き合わせレーザ溶接するに際し、レーザビームの照射位置を融点の高い材料側にシフトすることにより、融点の高い材料への投入エネルギを大きく、融点の低い材料への投入エネルギを小さくして、突合せ部で両方の材料を適度に溶融させるという金属板に限定されない一般的な異種金属間のレーザ溶接の要素技術を開示するものと認められる。したがって、引用発明を前提として、異種金属間のレーザ溶接に関する知見を得ようとする当業者においては、異種金属間のレーザ溶接における課題とその解決手段を開示する引用例2に接し、引用発明に引用例2記載技術を適用することを動機付けられるものと認められる。そうすると、引用例2に接した当業者であれば、当該引用例記載技術を適用して、引用発明において、リン青銅又はベリリウム銅の線材とタングステンの線材とを直接突き合わせてレーザ溶接により接合する際、レーザビームの照射位置を融点の高いタングステンの線材側にシフトすることにより、融点の高いタングステンの線材へ与えられるエネルギを大きく、融点の低いリン青銅又はベリリウム銅の線材へ与えられるエネルギを小さくして、接合部で両方の線材を適度に溶融させるようにすること、すなわち、相違点2に係る本願発明の構成とすることは容易に想到し得たものと認められる」と述べている。

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