知財高裁(平成8年14日)“棒状ライト事件原告は、本件製品の構成Fは本件製品を破壊しなければ知ることができないし、本件製品のパッケージ裏面の『意図的に分解・改造したりしないでください。破損、故障の原因となります』との記載・・・・により、本件製品の分解が禁じられており、内部構造をノウハウとして秘匿するべく購入者による本件製品の分解を認めていないのであるから、本件製品の購入者は社会通念上この禁止事項を守るべきであり、警告を無視する悪意の人物を想定し、本件製品の破壊により分解しなければ知ることができない構成Fについて『知られるおそれがある』と判断することは特許権者である原告に酷である旨主張する。しかし、本件製品のパッケージ裏面の前記記載は、その記載内容等に照らすと、意図的な分解・改造が本件製品の破損、故障の原因となることについて購入者の注意を喚起するためのものにすぎないといえる。本件製品のパッケージ裏面の意図的な分解・改造が破損、故障の原因となる旨の記載により、この記載を看取した購入者がそれでもなお意図して本件製品を分解し、本件製品を破損・故障させるなどした場合については、販売者等に対し苦情を申し立てることができないということはあるとしても、この記載を看取した購入者に本件製品の構成を秘密として保護すべき義務を負わせるものとは認められず、そのような法的拘束力を認めることはできない。また、上記記載があるからといって、社会通念上あるいは商慣習上、本件製品を分解することが禁止されているとまでいうことはできず、秘密を保つべき関係が発生するようなものともいえない。仮に、原告が本件製品のパッケージ裏面に前記記載をした意図が購入者による本件製品の分解禁止にあったとしても、前記認定を左右するものではない。したがって、原告の上記主張は採用することができない」と述べている。

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