知財高裁(平成28年1月27日)“照明装置事件”は、「本件発明は、・・・・LEDといった指向性のある光源を用いた照明装置において、光源の指向性によるグレアを緩和して均一な面発光をすることを課題とし、相違点に係る構成を採用すること、すなわち、光源から拡散板までの距離が複数の光源間の距離より大きくなるようにすることによって、指向性のある光源からの光が拡散板に到達する前に広がるので、拡散板にて光源の指向性によるグレアを更に解消した面発光が可能になるという効果を奏する。これに対し、先願発明は、・・・・LEDに対してレンズの装着が行われる発光装置において、レンズが、LEDから出射された光を液晶モジュールにほぼ均一に導く機能を有しており、また、拡散板は、光を散乱・拡散させ、面全体を均一な明るさとする機能を有するものであり、レンズ及び拡散板により光の均一化を図るものである。一般に、光源と拡散板の距離を長くすることにより、光の均一性を高めることができるが・・・・、先願発明は、レンズ及び拡散板により既に光の均一化を図っているから、光源から拡散板までの距離を光源間の距離より大きくすることによって光の均一化を図ろうとする課題がない。したがって、先願発明において、相違点に係る本件発明の構成を付加する必要がない。また、仮に先願発明において、相違点に係る本件発明の構成を付加すると、光の均一化がより一層進むという新たな効果を奏することになる。以上によれば、光源から拡散板までの距離が複数の光源間の距離より大きくなるようにすることが周知技術ないし慣用技術であるか否かにかかわらず、本件発明と先願発明との相違点が、課題解決のための具体化手段における微差であるということはできず、光源から拡散板までの距離が複数の光源間の距離より大きくなるようにすることが先願明細書に記載されているに等しいということはできない。したがって、上記相違点は実質的な相違点であって、先願発明は本件発明と同一ではない」と述べている。 |