知財高裁(平成28年10月26日)“換気構造体事件”は、「相違点1に係る本件発明の構成、すなわち『コーナー部』が、『外方の開口位置から少なくとも3箇所以上連続して形成され』るという構成は、引用例1を含むいずれの証拠にも記載されていない。また、本件発明において、『コーナー部』が、『外方の開口位置から少なくとも3箇所以上連続して形成され』ることの技術的意義は、通気口47から流れ込んだ雨水の流れの運動エネルギーを、各々のコーナー部を曲がる度に放出させ、第3コーナー部80を通過した後の雨水の流れの勢いを低下させるところにあると認められるところ・・・・、かかる技術的意義を示唆するような記載は、引用例1を含むいずれの証拠にもない」、「よって、・・・・引用発明1(サイト注:引用例1に記載された発明)において、相違点1に係る本件発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到することができたものということはできないから、本件審決の相違点1に係る容易想到性の判断に誤りはない」、「相違点2に係る本件発明の構成、すなわち『特定コーナー部の一部を塞ぐようにその内方の角から外方の角に向かって延びる突出片が形成され』るなどの構成は、引用例1を含むいずれの証拠にも記載されていない。また、本件発明における『特定コーナー部の一部を塞ぐようにその内方の角から外方の角に向かって延びる突出片が形成され』るという構成は、・・・・@通気時に通気経路を流れる気体を、突出片41によって圧縮させず、通気抵抗が大きくなることを防ぎ、換気棟5の通気性能を妨げないという技術的意義、A通気口47から流れ込んだ雨水の流れを、第3コーナー部80において、突出片41の突出方向、即ち外方に向かって反転させ、運動エネルギーの放出をより大きくすることにより、第3コーナー部80を通過した後での雨水の流れの勢いをより低下させ、防水効果を向上させるという技術的意義を有するものであるところ、このような技術的意義を示唆するような記載は、引用例1を含むいずれの証拠にもない」、「よって、・・・・引用発明1において、相違点2に係る本件発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到することができたものということはできないから、本件審決の相違点2に係る容易想到性の判断に誤りはない」、「以上によれば、引用発明1に基づいて当業者が本件発明を容易に想到することができたものということはできないとした本件審決に誤りはない」と述べている。 |