知財高裁(平成28年10月26日)“接触端子事件”は、「特許請求の範囲に記載された構成中、相手方が製造等をする製品又は用いる方法と異なる部分が存する場合において、均等侵害の成立が認められるためには、上記異なる部分の全てについて均等の5要件が満たされることを要する」、「本件特許請求の範囲に記載された構成と被告製品とは、@構成要件Dの『押付部材』につき、本件明細書において、小型化の要請にこたえて接触端子の径(幅)を大きくすることなく、コイルバネを流れる電流量を小さくしながら、比較的大きな電流を流し得る接触端子の提供という、本件発明の課題を解決するための構成として、『大径部の略円錐面形状を有する傾斜凹部』内に収容されていることが開示されており、『押付部材』自体が本体ケースに接触して電流経路を確保することは、開示されていないのに対し、被告製品のコマ状部材は、それ自体が本体ケースの内周面に左右2箇所で接触して電流経路を確保している点において異なるほか、A構成要件Dの『押圧』は、押付部材の球状面からなる球状部の中心を傾斜凹部の中心軸上に安定して位置させるものであるのに対し、被告製品のコマ状部材の球状部がプランジャーピンの傾斜凹部を押すことは、コマ状部材の球状部の中心を傾斜凹部の中心軸上に安定して位置させるものではない点においても異なる。控訴人は、これらの相違点のうち、構成要件Dの『押付部材』が球形であるのに対し、被告製品のコマ状部材が球形ではないという点についてのみ均等の5要件を主張するにとどまるから、主張自体、失当である」と述べている。 |