東京地裁(平成8年6日)“農作業機の整地装置事件8発明と、乙7文献及び乙0公報に記載された技術とは、いずれもトラクタに設置される農作業機という共通の技術分野に属し、かつ、相応の重量を有する装置の位置の切換えを容易に行うことを課題とする点においても共通している。そして、・・・・乙7文献には、正逆転用モータの駆動力を利用して、相応の重量を有する均平板の高さを上下に移動する切換え操作を容易に行うことができる旨が記載されていること、乙0公報に記載された構成によれば、ハンドルを手動操作することによる回動運動と正逆転用モータによる回動運動とが相互に置換可能である旨が開示されていることからすれば、甲8発明に接した当業者において、均平板を均平作業位置と土寄せ作業位置とに切り換えるために『作業者が(ストッパ4に固着された)操作ハンドル0をトラクタ側から回動操作する』ことに代えて、乙7文献や乙0公報に開示された『正逆転用モータによる回動運動』を適用し、これによりストッパを回動させ、相応の重量を有する均平板(整地体)の位置を切り換える構成とすることには、動機付けがあり、他方、そのような構成を採用することを妨げる事情は見当たらないということができる」、「したがって、甲8発明において、均平板を均平作業位置と土寄せ作業位置とに切り換えるために『作業者が(ストッパ4に固着された)操作ハンドル0をトラクタ側から回動操作する』との構成に代えて、乙7文献や乙0公報に開示された『正逆転用モータ』を適用して、その回動運動により(ストッパを回動させ、均平板(整地体)を駆動操作する構成(相違点1に係る本件発明の構成)にすることは、当業者が容易に想到することができたことである」と述べている。

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