知財高裁(平成8年0日)“筋力トレーニング方法事件原告は、・・・本件発明が本来的に治療行為、美容行為等を含んだ筋力トレーニングであること・・・から、本件発明は、社会的妥当性を欠くので特許法2条に反すると主張する。しかしながら、・・・・本件発明は、特定的に増強しようとする目的の筋肉部位への血行を緊締具を用いて適度に阻害してやることにより、疲労を効率的に発生させて、目的筋肉をより特定的に増強できるとともに、関節や筋肉の損傷がより少なくて済み、更にトレーニング期間を短縮できるようにしたものである。そうすると、本件発明は一義的に人体に重大な危険を及ぼすものではない上、本件発明を治療方法等にも用いる場合においては、所要の行政取締法規等で対応すべきであり、そのことを理由に、本件発明が特許を受けることが許されなくなるわけではない。また、特許を取得しても、当該特許を治療行為等の所要の公的資格を有する行為において利用する場合には、当該資格を有しなければ当該行為を行うことができないことは、当然である。したがって、本件発明に特許を認めること自体が社会的妥当性を欠くものとして、特許法2条に反するものとはいえない」、「本件発明は、公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明とすることはできない」と述べている。

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