知財高裁(平成8年月8日)“ロール苗搭載樋付田植機事件本願補正発明4は、その請求項4の記載(サイト注『請求項2請求項3(判決注『請求項1請求項2』の誤記と解される。以下同じ)記載の内部導光円筒状ロール苗の乗用田植機の苗のせ台への装填作業において、内部導光円筒状ロール苗をロング苗取板上に展開後、苗のせ台への装填の際、内部導光ロール苗の透光性のある柔軟なシート・フィルムの後端部分をロング苗取板持手に保持してロング苗取板を引き抜き、乗用田植機の苗のせ台へロール苗のみ正確に装填する、乗用田植機の苗のせ台とほぼ等しい長さのロング苗取板)からみて『ロング苗取板』という物に関する発明であると認められるところ『請求項2請求項3記載の内部導光円筒状ロール苗の乗用田植機の苗のせ台への装填作業において、内部導光円筒状ロール苗をロング苗取板上に展開後、苗のせ台への装填の際、内部導光ロール苗の透光性のある柔軟なシート・フィルムの後端部分をロング苗取板持手に保持してロング苗取板を引き抜き、乗用田植機の苗のせ台へロール苗のみ正確に装填する』との記載は、当該物の構成ではなく、その使用方法に関するものであって、その使用方法により当該物の構成が一義的に決まるわけではない(一般に、物の構成が同一であっても、使用方法は様々であり、物の構成とその使用方法との間に一対一の対応関係があるわけではないから、使用方法を特定したからといって物の構成を特定したことにはならない)ことからすると、かかる記載事項のみでは、ロング苗取板の構成が特定されているとはいえない。また『乗用田植機の苗のせ台とほぼ等しい長さの』というだけでは、構成の特定として不十分である。そして、本願明細書の記載を参酌しても、ほかにロング苗取板の構成を特定するに足りる事項(定義や説明など)が記載されているとは認められない」、「したがって、本願補正発明4は明確であるとはいえず、その旨を指摘する本件審決の判断は正当である」と述べている。

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