知財高裁(平成8年1日)“非磁性材粒子分散型強磁性材スパッタリングターゲット事件rの濃度変動があるか否か不明であるだけではなく、さらに、その濃度変動の程度も何ら特定されていない球形の合金相(B)を含むターゲットは、当業者が本件発明2の課題を解決できると認識できる範囲のものということはできないから、rの濃度変動の有無及びその程度を何ら特定しない球形の合金相(B)を含む特許請求の範囲請求項2に記載された本件発明2は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるとはいえない。また、このような球形の合金相(B)を含むターゲットが、当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるということもできない。したがって、本件発明2に係る請求項2の記載は、サポート要件を満たしているとはいえない」、「一方、特許請求の範囲請求項4に記載された本件訂正発明4は『中心付近にl%以上濃縮し、外周部にかけての含有量が中心部より低くなる組成』を有する球形の合金相(B)である点を特定しているから、本件訂正発明4は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。したがって、本件訂正発明4に係る請求項4の記載は、サポート要件を満たしている」と述べている。

特許法の世界|判例集