知財高裁(平成28年12月6日)“炭酸飲料事件”は、「原告は、可溶性固形分含量についての判断の誤りをるる指摘するが、いずれも、甲1発明を、@植物成分を10〜80重量%含み、かつ炭酸ガスを2ガスボリュームより多く含むような炭酸飲料に変更した場合、Aスクラロースによる甘味のボディ感の不足を補おうとした場合、及びB果汁の種類を変えた場合、結果的に、可溶性固形分含量が4度以上の果汁入り炭酸飲料が得られる可能性や、可溶性固形分含量自体に着目する可能性があることを主張するにとどまっている。すなわち、原告は、上記@〜Bのいずれかの操作をした場合、様々な可溶性固形分含量を有する炭酸飲料が得られるものの、その中には可溶性固形分含量が4度以上の果汁入り炭酸飲料が含まれている可能性があることを主張するにすぎない。しかし、『可溶性固形分含量が4度以上の果汁入り炭酸飲料』が容易想到であるというためには、様々な可溶性固形分含量を有する炭酸飲料の中から、『可溶性固形分含量が4度以上の果汁入り炭酸飲料』というものに当業者が着目し、これを選択する必要があるにもかかわらず、原告の主張は、『可溶性固形分含量が4〜8度』の範囲内の果汁入り炭酸飲料というものに当業者が着目し選択する動機付けがあることを証明するものでもなければ、@〜Bのような操作をすれば、必然的にそのような飲料が得られることまでをも証明するものではないから、採用の限りでない」と述べている。 |