東京地裁(平成8年月6日)“流体制御弁事件原告明細書2及び3の各記載によれば、原告発明2及び3はいずれも、主流路開閉弁を弁開するときに回転子が下部の軸受に押し付けられる結果、その摩擦抵抗によって回転子の回転力が有効に主流路開閉弁の開成力として得られないという課題を解決するために、第1の軸受と第2の軸受を異なる材質を用いて構成するとともに、弁開動作時に当接するロータとスラスト軸受部との摺動抵抗に対し、弁閉状態時に当接するロータとスラスト軸受部の摺動抵抗を大きくしたものであり、これにより、流体制御弁が回転軸及びロータと摺動抵抗の異なる軸受となり、接触方向を選定して使用することでトルクの異なる電動機出力を得て、これを選択的に開閉弁の開成力として利用することができるという効果を奏するものであるとされている。また、原告明細書2及び3の各記載と・・・・出願経過を考慮すれば、原告発明2及び3に係るスラスト軸受の構成(ロータとの間に摺動抵抗を生じるものであること)は、進歩性欠如の拒絶理由を回避するために必要な部分であると評価すべきである。そうすると、特許請求の範囲に記載された構成と各被告製品との相違点である構成要件2L−2及び3N−2並びに構成要件2L−3及び3N−3の『スラスト軸受部』に係る構成は、ロータとスラスト軸受部との間における摺動摩擦の存在を課題とするか否か、同摺動摩擦の程度を弁開時と弁閉時で異ならせるという課題解決原理を有するか否か、という点に係る相違であり、原告発明2及び3の各本質的部分に係るものということができる」と述べている。

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