東京地裁(平成8年月6日)“流体制御弁事件各被告製品等の仕入原価(再検査費用を含む)が合計(省略●円であることについては、当事者間に争いがないから・・・・、各被告製品等の限界利益は、(省略●円であると認められる(計算式は、(省略●円(・・・・売上高合計)−(省略●円)」、「これに対し、原告は、@原告において被告製品1の限界利益率を算定したところ(省略●%であったから、各被告製品等の限界利益率は売上高に同率を乗じて算定すべきである、A被告が各被告製品等を自らの完全子会社である被告子会社から仕入れていること、被告と被告子会社が不真正連帯債務として損害賠償義務を負担することからすると、被告と被告子会社との連結による収支計算に基づいて限界利益率を(省略●%と算定すべきであると主張する。しかしながら、上記@については、原告社員による被告製品1についての推計にすぎない上・・・・、同推計の基礎となる原価の正確性を裏付ける証拠も見当たらず、さらに、同推計が被告製品1以外の各被告製品等に妥当するという根拠も不明である。また、上記Aについても、原告は、被告子会社が被告の完全子会社であると主張するのみで、各被告製品等に係る被告の被告子会社からの仕入価格が不当に高額に設定されているなどといった各被告製品等の仕入原価の適正性を疑わせる具体的な事情を何ら主張しないのであるから(さらに、連結による収支計算によった場合に限界利益率が(省略●%となることを認める証拠もない。)、被告子会社からの仕入価格を原価として限界利益を算定することが不相当であるということはできない。したがって、原告の上記主張はいずれも採用することができない」、「なお、被告は、各被告製品等の仕入原価に加えて、製造、販売に直接要した諸経費を控除する必要があり、各被告製品等の限界利益は売上高のせいぜい5%である旨主張する。しかしながら、被告は仕入原価以外の製造、販売に直接要した諸経費について、具体的な主張、立証を一切しないのであるから、被告の同主張についても採用することはできない」、「原告は、・・・・被告による原告特許権1の侵害について、法102条2項による損害賠償を求めるから、特許権者である原告が受けた損害額は、・・・・被告の限界利益額である(省略●円・・・・であると推定される」と述べている。

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