大阪地裁(平成8年29日)“棚装置事件「弁論の全趣旨によれば、原告も被告も金属製ワゴンを製造販売するメーカーであり、原告は本件訂正発明1及び本件再訂正発明2の実施品を含む同種の金属製ワゴンを、卸売業者であるトラスコ中山を通じて一般市場で販売しており、被告は本件訂正発明1及び本件再訂正発明2の技術的範囲に属する被告各製品を製造し、販売業者等を通じて一般市場で販売していると認められる。したがって、原告と被告とは、金属製ワゴンの市場において競業関係にあり、市場において競合する被告各製品によって、トラスコ中山による原告の製品の販売量が減少し、それに連動して原告のトラスコ中山に対する原告の製品の販売量が減少する関係にあるといえ、原告には、被告による被告各製品の製造販売等がなければ原告の製品の販売利益を得られたであろうという事情が存するから、原告には損害が発生しているといえ、特許法102条2項を適用するための要件は充足している。これに対し、被告は、原告の製品の納入先がトラスコ中山に限られることから、原告が被告の顧客に原告の製品を販売する蓋然性がない、原告のトラスコ中山への販売量が減少したことが立証されていないと主張するが、いずれも上記に照らして採用できない」と述べている。

特許法の世界|判例集