知財高裁(平成8年47日)“Web−POS方式事件本件出願手続において、第1手続補正前の時点では『計算』について、発明特定事項として何らの規定もされていなかった特許請求の範囲の請求項1について、控訴人は、第1手続補正により『計算』が『Web−POSサーバ・システム』で行われる構成に限定し、その後の第2手続補正によって、この構成に代えて、あえて『該数量に基づく計算』が『Web−POSクライアント装置』で行われる構成に限定して特許査定を受けたものということができる。上記事実に鑑みれば、控訴人において『該数量に基づく計算』が、被告方法のように『Web−POSサーバ・システム』で行われる構成については、本件特許発明の技術的範囲に属しないことを承認したもの、又は外形的にそのように解されるような行動をとったものと評価することができる。したがって、均等の第5要件の成立は、これを認めることができない」、「控訴人において『該数量に基づく計算』が、被告方法のように『Web−POSサーバ・システム』で行われる構成については、本件特許発明の技術的範囲に属しないことを承認したもの、又は外形的にそのように解されるような行動をとったものと評価することができるのであるから、特許権者のかかる外形的行動を信頼した第三者を保護すべきであり、控訴人がこれに反して当該『Web−POSサーバ・システム』で行われる構成について均等の主張をすることは、禁反言の法理に照らして許されないというべきである」と述べている。

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