東京地裁(平成28年5月26日)“農産物の選別装置事件”は、「本件の各発明が被告の・・・・利益に寄与した割合について、本件発明1につき被告は2.5%、原告は50%であると、同2−1及び2−2につき被告はロ号物件につき0.3%、ニ号物件につき0.9%、へ号物件につき0.2%、原告は30%であるとし、その余の部分につき特許法102条2項の推定が覆滅する旨主張する。そこで判断するに、本件明細書1・・・・によれば本件発明1は農産物の選別装置に関するものであって主としてリターンコンベアを設けること及びその終端を工夫したことに、同2・・・・によれば本件発明2−1及び2−2は内部品質検査装置に係るものであって主として複数の光源を設け、遮光手段を工夫したことに、それぞれ技術的意義があるものと認められる。その一方で、・・・・ロ号〜ホ号物件はプールコンベアに設定される仕分区分が集積状態によって適宜変動する構成を採用しており、その結果、そうでない構成と比べてオーバーフローする青果物入り受皿の数が減少するものと認められ、その限度において本件発明1が被告の上記利益に寄与した割合が減少すると考えられる。また、・・・・証拠及び弁論の全趣旨によれば、@ロ号〜へ号物件は、選別設備及び内部品質検査装置のほかに荷受設備(ニ号物件を除く。)、箱詰設備、封函・製品搬送設備、製函・空箱搬送設備その他の設備から構成されるものであり、上記・・・・の利益にこれらの製造及び施工に係る利益が含まれていること・・・・、Aロ号〜へ号物件の各設置場所に関する入札条件・・・・上、少なくともリターンコンベアの戻し位置を本件発明1所定の位置にすること及び内部品質検査装置において本件発明2−1及び2−2所定の複数の発光光源を設けることは必須の要件とされていなかったこと、以上の事実が認められる。上記の技術的意義及び事実関係によれば、上記利益額の一部については特許権侵害による原告の損害額であるとの推定を覆滅する事情があると認められ、その割合は本件発明1につき75%、同2−1及び2−2につき95%と認めるのが相当である」、「したがって、特許法102条2項に基づいて算定される損害額は、上記・・・・の利益額に対し、本件発明1につき25%、同2−1及び2−2につき5%を乗じた額であり、その合計額は7905万5000円・・・・であり、原告がこれを上回る損害を被ったことを認めるに足りる証拠はない」と述べている。 |