東京地裁(平成8年56日)“アンテナ装置事件原告は・・・・被告製品の売上高4億4967万3858円に実施料率5%を乗じた2248万3692円が本件特許権の侵害による損害額(特許法102条3項)であると主張するところ、売上高は被告の自認する2億8279万4711円の限度で認められ、これを上回る額を認めるに足りる証拠はない。次に、実施料率についてみるに、・・・・証拠・・・・及び弁論の全趣旨によれば、@本件発明は被告製品の構成の中核部分に用いられており、本件発明の技術的範囲に属する部分を取り除くと被告製品はアンテナとして体をなさないこと、A本件発明は高さ約0m以下という限られた空間しか有しないアンテナケースに組み込んでも良好な電気的特性を得ることのできるアンテナ装置の提供を目的とするところ、被告製品はこれと同様に背が低いにもかかわらず受信性能に優れたアンテナ装置であって、被告はこの点を被告製品の宣伝上強調していること、B本件発明の属する電子・通信用部品ないし電気産業の分野のライセンス契約における実施料率については平均3.3〜3.5%ないし2.9%とする調査結果が公表されていること、以上の事実が認められる。これらの事実を総合すると、本件において特許法102条3項に基づく損害額算定に当たっては被告製品の売上額の5%をもって原告の損害とするのが相当である。したがって、原告の損害額は1413万9735円となる」と述べている。

特許法の世界|判例集