東京地裁(平成8年63日)“搾汁ジューサー事件本件発明における圧力排出路は、食材が網ドラムの底部で最終的に圧縮されて脱水される過程で生じる一部の汁が防水円筒を超えてハウジングの外に流出するのを防ぐものである。また、これにスクリューギヤが挿入されて回転することにより、高粘度の汁を効率的に排出することができる。他方、・・・・被告製品のハウジングにスクリュー及び網ドラムを配置すると果汁案内路が形成され、これが汁排出口と連通して、搾汁された汁の一部を汁排出口へ案内する機能を果たすと認められる。また、被告製品のスクリュー下部に形成されたスクリューギアは、果汁案内路に挿入されて回転する・・・・。そして、網ドラムはハウジングの上方から配置されるものであり、果汁案内壁とハウジング底面との間に隙間が生じることもあり得るところ、その場合には当該隙間から汁が果汁案内路の外側に流出するから、果汁案内路に流入した汁が内周側の防水円筒を超えてハウジング外部に流出することはないものと考えられる。したがって、被告製品の果汁案内路は本件発明の圧力排出路と同一の作用効果を奏するということができる。以上のとおり、被告製品の果汁案内路は圧力排出路と同一の作用効果を奏するものとして、置換可能と評価するのが相当である」、「これに対し、被告は、被告製品はハウジング底面を平坦化することにより清掃を容易にするという新たな効果が生じているから置換可能とはいえない旨主張する。しかし、仮にそのような効果が生じるとしても、ハウジング底面の清掃容易性は本件発明の・・・・課題とは無関係であり、これをもって第2要件の充足性を否定することはできない」と述べている。

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