知財高裁(平成28年6月29日)“Web−POS方式事件”は、「本件発明と本件ECサイトの制御方法は、少なくとも、ユーザが所望する商品の注文のための表示制御過程に関する具体的な構成において、本件発明においては、オーダ操作(オーダ・ボタンをクリック)が行われた際に、Web−POSクライアント装置からWeb−POSサーバ・システムに送信される情報の中に商品基礎情報が含まれているのに対し、本件ECサイトの制御方法においては、顧客が『お買い上げ』ボタンをクリックした際に、顧客のコンピュータから管理運営システム内にあるサーバに対して送信されるリクエスト情報には、Cookie情報等が含まれるが、注文された商品に係る商品基礎情報は含まれていない点において、相違する。そこで、本件ECサイトの制御方法、すなわちオーダ操作が行われた際に、Web−POSクライアント装置からWeb−POSサーバ・システムに送信される情報に、注文された商品に係る商品基礎情報を含めずに、Cookie情報等を含めることにより、本件発明の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏するか否かについて検討する」、「ユーザが所望する商品の注文のための表示制御過程に関する構成において、Web−POSサーバ・システムがCookie情報等は取得するものの、注文された商品に係る商品基礎情報を取得しないという本件ECサイトにおける構成を採用した場合には、本件発明のように、Web−POSサーバ・システムは、注文時点における商品ごとの価格などが含まれた基礎情報をリアルタイムに管理することができないというべきである」、「よって、本件ECサイトの制御方法、すなわち、オーダ操作が行われた際に、Web−POSクライアント装置からWeb−POSサーバ・システムに送信される情報に、注文された商品に係る商品基礎情報を含めずに、Cookie情報等を含めるという方法では、本件発明と同一の作用効果を奏することができず、本件発明の目的を達成することはできない。したがって、均等の第2要件の充足は、これを認めることができない」と述べている。 |