東京地裁(平成8年60日)“生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置事件原告は、被告ワンマン及び被告西部機販に対し、本件メンテナンス行為1の差止めを求めるところ、製品について加工や部材の交換をする行為であっても、当該製品の属性、特許発明の内容、加工及び部材の交換の態様のほか、取引の実情等も総合考慮して、その行為によって特許製品を新たに作り出すものと認められるときは、特許製品の『生産(法2条3項1号)として、侵害行為に当たると解するのが相当である。本件各発明は、・・・・生海苔混合液槽の選別ケーシングの円周面と回転板の円周面との間に設けられた僅かなクリアランスを利用して、生海苔・海水混合液から異物を分離除去する回転板方式の生海苔異物分離除去装置において、クリアランスの目詰まりが発生する状況が生じ、回転板の停止又は作業の停止を招いて、結果的に異物分離作業の能率低下等を招いてしまうとの課題を解決するために、突起・板体の突起物を選別ケーシングの円周端面に設け(本件発明1、回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設け(本件発明3、あるいは、クリアランスに設けること(本件発明4)によって、共回りの発生をなくし、クリアランスの目詰まりの発生を防ぐというものである。そして、本件板状部材は、本件固定リングに形成された凹部に嵌め込むように取り付けられて固定されることにより、本件各発明の『共回りを防止する防止手段(構成要件A3)に該当する『表面側の突出部』、『側面側の突出部』を形成するものであること(当事者間に争いがない)からすると、本件固定リング及び本件板状部材は、被告装置の使用(回転円板の回転)に伴って摩耗するものと認められるのであって、このような摩耗によって上記突出部を失い、共回り、目詰まり防止の効果を喪失した被告装置は、本件各発明の『共回りを防止する防止手段』を欠き、もはや『共回り防止装置』には該当しないと解される。そうすると『表面側の突出部』、『側面側の突出部』を失った被告装置について、新しい本件固定リング及び本件板状部材の両方、あるいは、いずれか一方を交換することにより、新たに『表面側の突出部』、『側面側の突出部』を設ける行為は、本件各発明の『共回りを防止する防止手段』を備えた『共回り防止装置』を新たに作り出す行為というべきであり、法2条3項1号の『生産』に該当すると評価することができるから、原告は、被告らに対し、法100条1項に基づき、・・・・本件メンテナンス行為1の差止めを求めることができる」と述べている。

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