知財高裁(平成8年6月9日)“ガスセンサ素子事件甲3技術は、導体層の平坦部と略面一の状態となるように接着剤を塗布することにより、各未焼成シートと各未焼成スペーサとの間に局所的な加重が加わることを防止し、各未焼成シート又は各未焼成スペーサに亀裂が発生することを防止するというものであるところ、甲2発明(1)においても、第1電極404及び第2電極406によって生じる段差によって、第2基体403、絶縁部材405、保護層407に亀裂が発生するおそれがあることは、甲3のガスセンサ素子の場合と同様であるから、甲2及び甲3に接した当業者であれば、甲2発明(1)においても、上記のような亀裂の発生を防止すべく甲3技術を適用しようとする動機付けがあるというべきである。したがって、甲2発明(1)に甲3技術を適用し、絶縁部材405の表面及び裏面のうち、第1電極404及び第2電極406周囲の電極非形成部分に、各電極の周縁に接するように、かつ、各電極の平坦部と略面一の状態になるようにアルミナからなる接着剤を塗布して段差を解消し、平坦化を図った上で上記403ないし407の各層を積層することは、当業者が容易に想到し得たことというべきであると述べている。

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