知財高裁(平成28年7月19日)“白色ポリエステルフィルム事件”は、「原告は、本件明細書の発明の詳細な説明の実施例1ないし7は、いずれも@リン酸化合物で表面処理した無機粒子とAポリエステル微粉末を用いて製造したポリエステル組成物に係るものであり、これらの記載からは、当業者が、上記@及びAを用いない組成物によって本件発明1の課題を解決し得ると理解することはできないから、上記@及びAを用いるとの限定をすることなく、特性(a)及び(b)をもって発明を特定する本件発明1に係る特許請求の範囲(請求項1)の記載は、サポート要件を充足しない旨主張する」、「本件発明1は、無機粒子を5重量%以上含むポリエステル組成物からなる白色二軸延伸ポリエステルフィルムにおいて、当該ポリエステル組成物が有すべき物性(特性(a)及び(b))を特定することによって発明を特定するものであるところ、このような場合、明細書の発明の詳細な説明の記載としては、当該物性を満たすものとすることによって発明の課題が解決されることが理解できるように記載されていれば、サポート要件としては足りるものといえるのであって、当該物性を実現するための方法の全てが開示され、かつ、それらによって得られる物が発明の課題を解決し得るものであることが逐一実施例によって示されなければならないというものではない」、「本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、上記の要求を満たすものであるといえる。したがって、原告の上記主張は理由がない」と述べている。 |