知財高裁(平成28年7月20日)“複数の指示部位で操作可能なタッチパネルシステム事件”は、「補正後構成は、所定の動作が何に応じて選択されるか、及び、所定の動作の選択候補を変更するものであり、審理対象が実質的に変更されているものであるから、訂正請求書の趣旨の要旨を変更するものであり、特許法134条の2第9項で準用する同法131条の2第1項規定に違反するものである」、「原告は、本件補正は、『指示部位の数の過渡的な変化』との訂正を含む本件訂正に係る各訂正事項につき、これを、『指示部位の数の過渡的な変化』を除く訂正にとどめるとする趣旨のものであって、減縮的変更に該当するから要旨の変更には該当しないと主張する。しかしながら、特許法131条の2第1項は、審理遅延を防止するために、審理対象の変動を禁止したものであるところ、補正前構成(訂正後構成)は、その全体が一体として、制御手段が情報処理装置にさせる所定動作の選択のための条件を規定するものであるから、これを規定する発明特定事項の要素が補正後構成において減少していても、補正前構成(訂正後構成)の全体が変更されていることにほかならない。そうすると、審理対象は変動しており、本件補正は、要旨の変更に該当する。原告の上記主張は、採用することができない」と述べている。 |