東京地裁(平成28年7月20日)“治療用マーカー事件”は、「構成要件Aの『治療用の目印となるマーク』の意義について検討するに、本件発明の構成要件をみると、構成要件Cには『該保護シート層の裏面に積層され、前記基台紙に印刷されたマークと同一のマークを形成するインク層と』とあり、インク層のマークが基台紙に印刷されたマークと同一の形状であることが示されている。そして、構成要件Fには、『前記接着層、インク層及び保護シート層を皮膚側に転写して、各種の治療の際の目印となり』とあり、インク層が皮膚に転写されて治療の際の目印となることが示されている。そうすると、構成要件Aの『治療用の目印となるマーク』とは、『インク層に形成される治療用のマークと同一のマーク』をいうものと解される。ここで、『同一のマーク』の意義について検討する。本件明細書等には『基台紙を患部に貼り付ける際には、その表面に印刷されているマークによってどこに貼り付けたらよいかが容易に判明する。そして、患者の皮膚にはこのマークと同一のマークからなる目印が転写される』・・・・、『患者の患部の皮膚に対して、基台紙3の表面に印刷されているライン3にて位置を合わせながら接着層11を押し付ける様に基台紙5を貼り付ける』・・・・といった記載があるから、これらを考慮すると、基台紙の表面に印刷されているマークは、インク層に形成される治療用のマークを皮膚に貼り付ける際の位置合わせのためのものであって、インク層のマークと同一の位置に存在することを要するものといえる。以上からすると、『同一のマーク』とは、インク層に形成される治療用のマークと『同一の位置にあるマーク』を意味すると解することが相当である」と述べている。 |