知財高裁(平成28年8月3日)“分散型プレディケート予測を実現するための方法事件”は、「特許法36条4項1号が実施可能要件を定める趣旨は、明細書の発明の詳細な説明に、当業者がその実施をすることができる程度に発明の構成等が記載されていない場合には、発明が公開されていないことに帰し、発明者に対して特許法の規定する独占的権利を付与する前提を欠くことになるからであると解される。そして、物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(同法2条3項1号)、物の発明について上記の実施可能要件を充足するためには、当業者が、明細書の発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識とに基づいて、過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造し、使用することができる程度の記載があることを要する」と述べている。 |