東京地裁(平成8年95日)“家庭用おかゆ調理器事件本件発明の・・・・課題及び解決手段とその効果に照らすと、本件発明は、本件特許の特許請求の範囲請求項1の発明に係るおかゆ調理器を用いたおかゆの調理方法として『粉砕段階』、『加熱段階』を含む複数の動作段階を設定し、それら動作段階の一部についてはその順序、時間、回数等を具体的に指定し、穀物の粉砕手段及び加熱手段を一体化した組合せとすることにより、通常のおかゆの調理方法において時間を要していたふやかしの時間及び全体の調理時間の短縮を図り、また、通常の調理方法においてはかきまぜの継続によって解消していたおかゆの焦げ付きも防止するなど、より簡便、迅速に本来の風味を有するおかゆの調理ができるようにしたものであると認められる。ところでおかゆの調理方法として、加熱や粉砕の動作を適宜組合せることは、周知であるから・・・、本件特許の特許請求の範囲請求項1の発明に係るおかゆ調理器を用いたおかゆの調理方法である本件発明における本質的部分とは、調理方法を決定するところの『粉砕段階』、『加熱段階』、『待機段階』という一連の動作段階の設定、及び各動作段階において具体的に規定された粉砕及び加熱の動作並びに待機の順序、各動作及び待機の時間、各動作及び待機の回数等を一体化した組合せそのものにあると認められる」、「これに対し、被告方法は、既述のとおり、少なくとも、その第1及び第2の粉砕段階において、本件発明の構成要件として規定された粉砕と待機とは異なる時間、回数の粉砕と待機がなされるものであるから、動作等の組合せにおいて、本件発明の一体化した組合せとは異なっており、この相違部分は本件発明の本質的部分に存するものといわなければならない、したがって、被告方法は、均等の第1要件を充足するとは認められない」と述べている。

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