知財高裁(平成28年9月28日)“ティシュペーパー製品の製造方法事件”は、「本件発明1−1の課題は、薬液塗布工程をプライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に設ける構成を採用した場合に起きる、薬液塗布のために原反を移送する手間や多大な設備コストが掛かるという問題の発生を回避し、同構成よりも低コストで薬液塗布を行うことができ、かつ、薬液塗布の有無を容易に切替え可能である製造設備を提供することであり、その解決手段は、一次原反ロールから薬液が塗布された二次原反ロールに至るまでの積層手段、薬液塗布手段、スリット手段及び巻取り手段が順に連続した1つの製造ラインに組み込まれ、同製造ライン上をシートが上記各手段を経ながら間断なく流れるように構成されたプライマシンを備える構成とすることである。同構成の採用によって、薬液塗布手段をプライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に設ける場合と比較して、その場合に起きる、薬液塗布のために原反を移送する手間や多大な設備コストが掛かるという問題の発生を回避し、設備コストをより低く抑えることができ、また、薬液を塗布しない製品を製造する場合は、プライマシンから薬液塗布手段を省略すれば足りるので、薬液塗布の有無を容易に切り替えることができるという効果を奏する」、「そして、被告設備は、・・・・一次原反ロールから薬液が塗布された二次原反ロールに至るまでの間、一次原反ロールRからロール102を形成する製造ラインとは別に、薬液塗布装置11が設けられており、上記製造ラインから原反(ロール102)を薬液塗布のために薬液塗布装置11に移送するというものである。したがって、本件発明1−1において一次原反ロールから薬液が塗布された二次原反ロールを製造するプライマシンを、被告設備における2つの製造ラインと置き換えれば、少なくとも、本件発明1−1の目的のうち、薬液塗布工程をプライマシンやインターフォルダとは別に設ける構成を採用した場合に起きる薬液塗布のために原反を移送する手間が掛かるという問題の発生を回避し、同構成よりも低コストで薬液塗布を行うことができる製造設備を提供するという目的を達成することができず、薬液塗布手段をプライマシンやマルチスタンド式インターフォルダとは別に設ける場合と比較して、その場合に起きる薬液塗布のために原反を移送する手間が掛かるという問題の発生を回避し、設備コストをより低く抑えることができるという効果を奏しなくなることは、明らかである」、「以上のとおり、被告設備は、均等の第2要件を満たすものではない」と述べている。 |