大阪地裁(平成8年9月8日)“螺旋ハンガー用クランプ事件1発明は、・・・・電柱間に既設のケーブルを一束化する方法に関し、またこの方法に使用される先導具及び固定具に関するものであるが・・・・、乙2ないし乙5に記載された発明は、・・・・配管パイプ等のパイプ部材という単一の部材を支持固定する支持部材技術分野に属するものであり、乙1発明と共通する技術分野にはない。また、乙1発明は、主として、固定力が十分で、支持線への取付作業が容易で安全な固定具を提供することを課題としているところ・・・・、第1板及び第2板をボルト・ナットにより挿通し、両板に『立上部』及び『ストッパ部』を設ける構成を採ることにより、上記課題を既に解決しているもので、それ以上に、本件発明にある『切欠部』の構成を採用しなければならない必要性は認められないし、乙2ないし乙5に本件発明にある『切欠部』と同様の構成が記載されていたとしても、乙1にそのような構成についての記載も示唆もないのであるから、技術分野が異なるこれらの文献に記載される発明を乙1発明に適用する動機付けもない。さらに、乙1の課題や目的は、乙2ないし乙5の課題や目的と異なるものであるから、乙1に乙2ないし乙5に開示のある発明を組み合わせることは、いずれにしても困難であるといえる。そうすると、乙2ないし乙5に記載された発明の内容を検討するまでもなく、乙1発明に乙2ないし乙5に記載された発明を組み合わせることは困難であるといえるから、いずれにしても、乙1発明と、乙2ないし乙5に基づいて、当業者が本件発明と同様の構成に容易に想到し得たものということはできない」と述べている。

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