知財高裁(平成9年1日)“フッ素置換オレフィンを含有する組成物事件原告は、本件審決が、引用周知技術を主引用発明とし、本件訂正発明1と引用周知技術とは相違点3で相違するものの、HFO−123fを引用周知技術におけるCFC−2又はHFC−134aのドロップイン置換物として使用することは当業者にとって容易に想到し得るとしたのに対し、・・・・引用刊行物は、そのような置換の動機付けを提供するものではない旨主張する。しかし、・・・・引用刊行物の記載から、HFO−123fは、COPにつきCFC−2と同程度であり、冷凍効果に関してはこれよりも高めの値を示すHFO−124fと同様の結果を示すことを理解し得ること、本件優先日当時、CFC−2とHFC−134aは、同等の冷凍能力及びCOPを示すことが知られていたことから、引用刊行物の記載に基づき、当業者は、HFO−123fにつき、HFC−134aとほぼ同等の能力及びCOPを期待し得ることを理解し得るものといってよい。そして、冷媒のドロップイン置換には従来・現行冷媒と同等の物性が要求されること・・・・を知る当業者にとって、HFO−123fを、引用周知技術におけるCFC−2又はそのドロップイン置換物であるHFC−134aのドロップイン冷媒として使用することは、容易に想到し得ることというべきである」と述べている。

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