知財高裁(平成29年10月25日)“スキンケア用化粧料事件”は、「控訴人は、乙34及び乙35の各ウェブページは、・・・・匿名者による記事にすぎず、それらの正確性、信頼性に何らの裏付けもなく、また、公開日に関しては、乙34ウェブページのブログ記事も乙35ウェブページのクチコミ記事も過去の投稿内容をいつでも容易に編集することが可能なのであって・・・・、それらに記載された内容が、それぞれ、実際に平成19年1月17日及び同年1月27日の時点で、公衆に利用可能になっていたことは疑わしいから、乙34ウェブページは証拠として採用されるに値しないと主張する。しかしながら、本件特許の出願前において、化粧品の全成分表示が義務付けられていたところ・・・・、控訴人は、乙34ウェブページにおける控訴人旧製品の全成分の記載内容の正確性について争っておらず、また、本件特許の出願前の平成19年1月15日に発売された控訴人旧製品の全成分リストを、乙34ウェブページの作成者が参照することができなかったなどというような具体的な主張もしていない。さらに、乙34ウェブページと乙35ウェブページとは、異なるウェブページであり、その作成者のペンネームも異なることから、異なる者によって記載されたものであり、控訴人旧製品の全成分の記載内容については、各成分の名称も表記順序も一致していることなどを考慮すると、両ウェブページを記載した者は、いずれも控訴人旧製品の容器等に記載された全成分表示を参照したものと考えるのが自然かつ合理的であるといえる。このように、異なる複数の者が控訴人旧製品の全成分表示を参照していることなどからすると、乙34ウェブページは、その内容を書き換えられる可能性が皆無ではないとしても、平成19年1月15日の控訴人旧製品の発売日より後の平成19年1月17日・・・・に記載されたものであると推認することができる(乙35ウェブページについても、平成19年1月27日・・・・に記載されたものと推認することができる。)。そして、その他、上記認定を左右するに足りる事情は認められない。そうすると、乙34ウェブページに記載された、控訴人旧製品の全成分に関する記載内容は、本件特許の出願前に、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものということができる。したがって、控訴人の上記主張は採用することができない」と述べている。 |