東京地裁(平成9年0日)“携帯端末サービスシステム事件本件発明は、サービス提供者がキャラクター画像情報により効率良く利益を得るのは困難であったという従来技術の問題点を解決して、サービス提供者が画像情報の提供により効率良く利益を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供することを目的の1つとするものであって、構成要件Cの『その決定したキャラクターに応じた情報提供料を通信料に加算する課金手段を備え』るとの構成は、まさに、従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決(サービス提供者がキャラクター画像情報により効率良く利益を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供すること)を実現するための、従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段(課金手段)としての具体的な構成として開示されているものいうべきである。また、本件発明は、ユーザーに十分な満足感を与え得るものではなかったという従来技術の問題点を解決して、ユーザーが十分な満足感を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供することを他の目的とするものであって『表示部に仮想モールと、基本パーツを組み合わせてなる基本キャラクターとを表示させ』るとの構成を含む構成要件F及び『基本キャラクターが、前記仮想モール中に設けられた店にて前記パーツを購入する』との構成を含む構成要件Gは、さながら自分が仮想モール内を歩いているようなゲーム感覚で商品を購入するなどして十分な満足感を得ることができるという本件発明に特有な作用効果に係るものであって、構成要件A、同B、同D及び同Eとともに、まさに、従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決(ユーザーが十分な満足感を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供すること)を実現するための、従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段(ゲーム感覚の実現)としての具体的な構成として開示されているものというべきである。他方で、・・・・引用例1・・・・の開示(iモード上に用意された複数のキャラクタ画像を受信し、これを待受画面として利用することができる携帯電話機)及び引用例2・・・・の開示(画像情報の提供に係る対価の課金を通話料金に含ませるもの)に照らすと、本件明細書において従来技術が解決できなかった課題として記載されているところは、客観的に見て不十分であるといい得るが、本件明細書の従来技術の記載に加えて、引用例1及び同2の開示を参酌したとしても、本件発明は、ユーザーが十分な満足感を得ることができ、かつ、サービス提供者が利益を得ることができる携帯端末サービスシステムを提供するものであり、従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための具体的な構成として、構成要件AないしHを全て備えた構成を開示するものであるから、これら全てが従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分に当たるというほかない。以上によれば、本件発明と被告システムとの相違部分は、いずれも本件発明の本質的部分に係るものと認めるのが相当である」、「したがって『キャラクターに応じた情報提供料』を『通信料』に『加算』する構成を備えておらず、また『仮想モール』に対応する構成を有していない被告システムは、均等の第1要件(非本質的部分)を満たさない」と述べている。

特許法の世界|判例集