知財高裁(平成9年)“入力支援コンピュータプログラム事件控訴人は、利用者がドラッグ&ドロップ操作を所望している場合に操作メニュー情報を表示することが本質的部分であると主張する。しかし、・・・・マウスが指し示している画面上のポインタ位置に応じた操作コマンドのメニューを画面上に表示すること自体は、本件発明1以前から『コンテキストメニュー』という従来技術として知られていたところ、・・・・本件発明1は、この『コンテキストメニュー』がマウスを右クリックすることにより上記メニューを表示することに伴う課題を解決することをも目的として、利用者が必要になった場合にすぐに操作コマンドのメニューを画面上に表示させるために『入力手段における命令ボタンが利用者によって押されたことによる開始動作命令を受信した後・・・・において(構成要件D)、『入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信すると・・・・操作メニュー情報を・・・・出力手段に表示する(同E)という構成を採用した点に特徴を有するものと認められる。したがって、本件発明1において、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は、利用者がドラッグ&ドロップ操作といった特定のデータ入力を所望している場合にその入力を支援するための操作メニュー情報を表示すること自体ではなく、従来技術として知られていた操作コマンドのメニューを画面に表示することを『入力手段における命令ボタンが利用者によって押されたことによる開始動作命令を受信した後・・・・において(構成要件D)、『入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信する(同E)ことに基づいて行うことにあるというべきである。そうすると、入力手段を介してポインタの位置を移動させる命令を受信することによってではなく、タッチパネル上のショートカットアイコンをロングタッチすることによって操作メニュー情報を表示するという、本件ホームアプリの構成は、・・・・本件発明1と本質的部分において相違するというべきである」と述べている。

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