知財高裁(平成29年11月30日)“NK細胞活性化剤事件”は、「国内優先権主張出願に係る発明(基礎出願の当初明細書等に記載された発明を含む。)について、平成23年改正前特許法30条1項(サイト注:現2項)の適用を受けるためには、同条4項(サイト注:現3項)所定の手続的要件として、所定期間内に4項書面及び4項証明書を提出することが必要であり、基礎出願において提出した4項書面及び4項証明書を提出したことをもって、これに代えることはできないというべきである」、「本願は、出願A(サイト注:国内優先権の主張を伴う特許出願)の分割出願である本願の原出願をさらに分割出願したものであるところ、分割出願については、原出願について提出された4項書面及び4項証明書は分割出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす旨の定めがあるが、原告は、出願Aにおいて、その出願と同時に、4項書面を特許庁長官に提出しなかったのであるから、本願は、平成23年改正前特許法30条1項の適用を受けることはできない」、「原告は、基礎出願において新規性喪失の例外規定が適用された発明に基づいて国内優先権を主張する場合、出願人が敢えて、国内優先権主張出願では上記発明について新規性喪失の例外規定の適用を受けないことは通常考えにくいから、国内優先権主張出願の際に改めて新規性喪失の例外適用申請の意思を確認する必要はないし、また、国内優先権主張出願の願書には必ず基礎出願の番号を記載していることなどの事情から、出願人にとっても第三者にとっても、国内優先権主張出願において新規性喪失の例外適用のための書面等を再度提出する必要性は何ら存在しないなどと主張する。しかし、基礎出願において平成23年改正前特許法30条4項所定の手続を履践している国内優先権主張出願において、基礎出願の当初明細書等に記載された発明について同条1項又は3項の適用を求める場合の同条4項所定の手続の履践の必要性について、仮に原告主張のような見方が成り立つとしても、立法論としてはともかく、同項の解釈として、同項がその対象となる『特許出願』から、基礎出願において同項所定の手続を履践している国内優先権主張出願を除外していると解することは、法令上の根拠がなく、できない」と述べている。 |