大阪地裁(平成29年11月9日)“臀部拭き取り装置事件”は、「被告代表者が補高便座に着目するに至った経緯は必ずしも明らかではなく、同じ時期に偶然に原告と被告代表者の双方が便座昇降機を用いない臀部拭き取り装置の発明をしたというのも自然とはいい難いから、原告から被告代表者に対して便座昇降機を用いない臀部拭き取り装置を開発するという程度の抽象的な課題の示唆はあったのではないかとも考えられるが、そのような抽象的な課題の示唆をしただけでは原告が本件特許発明1の発明者であるとは認められないし、・・・・両者の課題解決の方向性の相違からすると、抽象的課題の示唆を超えて課題解決手段の着想までの教示があったとまで認めるのは困難である。そしてまた、従来から臀部拭き取り装置の開発を原告と行ってきた被告代表者の立場からして、被告代表者が独自に本件特許発明1を着想することができないはずであるともいえない」と述べている。 |