東京地裁(平成9年)“2−ベンゾイルシクロヘキサン−1、3−ジオン事件本件明細書の発明の詳細な説明には、本件各発明に係る化合物のうち、が塩素、がS、Qのシクロヘキサンジオン環の置換基が水素、がCがCO、tが1−メチルピラゾール−5−イルである化合物については、工程aないしdに段階を分けて反応条件等が具体的に記載されており、具体的な合成実施例が記載されていると評価できる一方で、それ以外の化合物については合成実施例が記載されておらず、・・・・当業者において、本件明細書の発明の詳細な説明の合成実施例の記載や化合物の合成方法の記載を参照しても、少なくとも、が−CH=CHOC−の構造を有する化合物については、本件出願日当時の技術常識に基づき過度の試行錯誤を要することなく生産することができたとはいえない」、「本件各発明に係る化合物のうち、少なくとも、が−CH=CHOC−の構造を有する化合物については、当業者において、本件明細書の発明の詳細な説明の記載を参照したとしても、本件出願日当時の技術常識に基づき過度の試行錯誤を要することなく生産することができたとはいえないから、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たさない」と述べている。

特許法の世界|判例集