東京地裁(平成29年12月25日)“2−ベンゾイルシクロヘキサン−1、3−ジオン事件”は、「乙1発明の化合物から出発して相違点1・・・・に係る本件発明1の化合物の構成を採用することが容易であるというためには、乙2公報ないし乙4公報に本件発明1のR2及びHetに相当する部分構造を有する化合物が記載されているだけでは足りず、これらの部分構造を乙1発明に適用する動機付けに係る記載や示唆が必要であるというべきである。本件においては、乙1公報ないし乙4公報の記載を見ても、ベンゼン環の4位の塩素をハロゲン以外の基にしたり、3位のフェニルオキシメチル(−CH2O−φ)をヘテロ環オキシメチル(−CH2O−Het)に変更することによって、除草効果や作物に対する安全性が向上すること(サイト注:本件発明1の課題)を示唆するものはなく、それらの構成を採用する動機付けとなるものは見当たらない。被告の指摘する乙2公報の記載についても、【表3】ないし【表6】、【表8】に記載された化合物の構造とその除草効果の比較から、ベンゼン環の4位をハロゲン以外の基にしたり、3位にフェニル基を有する構成とすることによって除草効果や作物に対する安全性が向上することが示唆されているとまではいえない」、「本件発明1は、乙1発明及び上述した公知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない」と述べている。 |