東京地裁(平成9年2月9日)“光配向用偏光光照射装置事件6(参考資料3)発明は、液晶素子を製造するために用いられる偏光光照射装置に関するものであるところ、液晶素子を製造する装置の技術分野において、スループットを向上させることは、当然の課題であると考えられるから、甲6(参考資料3)発明に接した当業者であれば、同発明についてもスループットを向上させることを課題として認識し得たものといえる。一方、甲0(審判甲2)発明は、液晶ディスプレイ等の基板上にマスクパターンを露光転写するためのスキャン露光装置に関するものであり、マスク保持部及び照射部の数量を削減してコストダウンを図ること及びスループットの向上を目的とするところ、甲6(参考資料3)発明と甲0(審判甲2)発明とは、液晶素子を製造するために用いられる往復移動可能なスキャン照射(露光)装置である点において共通するから、スループットを向上させるために、甲6(参考資料3)発明に対して、甲0(審判甲2)発明におけるスループット向上に関する構成を組み合せることについては、動機付けがあるというべきである」、「したがって、甲6(参考資料3)発明について、スループットを向上させるという課題を解決しようとする当業者であれば、甲0(審判甲2)発明のうち、スループットを向上させることに係る動作B及び動作Cを実現するための構成に着目し、当該構成を甲6(参考資料3)発明に組み合わせることも容易であったというべきである」と述べている。

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