知財高裁(平成9年34日)“紙オムツへの吸水剤の使用事件本件優先日当時、・・・・紙オムツ等に使用される吸収体を、自己架橋型として製造することと、内部架橋剤型として製造することとは、当業者が任意に選択可能な技術であり、・・・・自己架橋型の内部架橋と比較して、内部架橋剤型の内部架橋には、例えば、吸収体の架橋密度を制御し、吸水諸性能をバランスよく保つことができる等の利点があることが、当業者の技術常識であったものと認められる。そうすると、本件優先日当時の当業者には、甲1発明において、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる高吸水性樹脂に一般に求められる、架橋密度を制御して吸水諸性能をバランスよく保つ等の課題を解決するために、自己架橋型の内部架橋に代えて、内部架橋剤型の内部架橋を採用する動機があったものということができる」、「したがって、甲1発明において、自己架橋型の内部架橋とすることに代えて、内部架橋剤型の内部架橋とすることは、当業者が容易に想到し得るものと認められる」と述べている。

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