知財高裁(平成29年3月27日)“容器事件”は、「本件請求項1の『前記内容器は金型で樹脂をプレスすることにより作られる』との記載は、原告が本件補正において付加したものであるところ、本件審決は、当該補正を、本件補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である『内容器』について製造方法により特定される状態に限定するものととらえた上で、PBPクレームとしての明確性要件違反の有無については検討・判断することなく、これとは別の独立特許要件である進歩性の有無について検討した結果、本願補正発明は引用発明と周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとして、進歩性欠如を理由として独立特許要件を充足しないとの判断をしたものである。このように、本件審決は、本願補正発明の要旨について、原告による本件補正の内容どおりに、『内容器』を『金型で樹脂をプレスする』という製造方法により特定される状態のものととらえた上で、そのような発明について進歩性の欠如が認められ、独立特許要件を充足しないと結論付けたものであり、これとは別の独立特許要件である明確性要件を充足するか否か、すなわち、本件請求項1がPBPクレームであるか否か、また、PBPクレームである場合に必要となる『発明が明確である』といえるための前記要件を満たすか否かについては検討・判断をするまでもなく上記の結論に至ったことから、あえて当該検討・判断をしなかったものにすぎない。このような本件審決の判断内容からすれば、本件の審判手続に審理不尽の違法があるなどといえないことは明らかである」と述べている。 |