東京地裁(平成9年37日)“酢酸ビニル系重合体の製法事件「@EVOH樹脂は、製造工程が複雑で多数の設備を要することなどから、初期投資に莫大な金額がかかるところ、A被告は、研究開発に多大な努力や試行錯誤を重ねて、EVOH樹脂製品の食品包装用途の基本特許を取得した上、基礎研究の開始から約5年を経て被告製品の工業化にたどり着いたこと、B被告においては、被告製品を製造する工場の建設・増設に莫大な金額が投じられるとともに、エバールの研究開発に関する費用(人件費等)として、毎年多額の資金が投じられてきたこと、C被告は、食品包装材のほか、ガソリンタンクやフロアヒーティングパイプ、真空断熱板等の非食品包装材についても、需要の開拓や拡大に向けた営業努力を重ねてきたこと、D被告は、顧客の開発部や製造部に対し、被告製品を加工する際の材料の選定を含めた最終商品の提案や、顧客の加工工程等において生じている技術問題に対する指導といった技術サービスを提供し、これにより被告の売上げに貢献したことが認められる。これらの事情に照らすと、本件発明1により被告が受けた利益について、被告の貢献度は高く、共同発明者の本件発明1による貢献度は5%と認めることが相当である」と述べている。

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