知財高裁(平成29年4月25日)“タバコベースのニコチンエーロゾル発生システム事件”は、「引用発明1も、引用発明2も、蒸発(揮発)したニコチンを、肺へ送給するに当たり、好ましい送給量を実現できるよう調整するという同一の目的を有するものであり、また、タバコ代替品として用いられる装置に関するものであって同一の用途を有するものである。そして、引用発明1と引用発明2とは、ニコチン源の相違という点をもって作用が異なると評価することもできない。よって、引用発明1に引用発明2を適用する動機付けはあるというべきである」、「以上のとおり、引用発明1に引用発明2を適用する動機付けがある。そして、相違点1に係る本願発明の発明特定事項のうち、引用発明2に『天然物ニコチン源であって、加熱されており、かつ、タバコと、アルカリ物質と、水とを含むものであり、同アルカリ物質は、炭酸水素ナトリウム又は炭酸カリウムから選択される』という構成が記載されていることは、当事者間に争いがない。さらに、引用発明1に引用発明2を適用した場合において、引用例3に記載された技術事項及び周知の技術事項を踏まえて、『天然物ニコチン源』に含まれるアルカリ物質を、相違点1に係る本願発明の特定事項とすることが当業者にとって容易であることを、原告は特段争わない。したがって、引用発明1に、引用発明2などを適用し、相違点1に係る本願発明の構成を備えるようにすることを、当業者は容易に想到することができたというべきである」と述べている。 |